うしろ姿のブルース

ラピュタ阿佐ヶ谷に「青春ジャズ娘」(1953・新東宝)を観にいってきました。新東宝入社3年目のアマチさんが出演している作品です。もしかして、現存でいちばん古いアマチ映像でしょうか？？
あらすじはコチラ

城南大学の学生で結成されているジャズバンド「シックス･メロディアンズ」は、大学対抗ジャズコンテストで優勝するほどの腕前を持っている。しかし、メンバーのドラム担当青木君(フランキー堺)が引き抜かれ、卒業後は解散することになってしまう。
トランペット担当の後藤君（片山明彦)は、音楽の道をあきらめようともと思ったが、彼女の俊子(新倉美子)と父親(古川緑波)や残ったメンバー（小笠原弘他)の励ましもあり、シックス・メロディアンズを再結成することを決心する。。。

我らがアマチ青年(22歳)は、シックス･メロディアンズのピアニストの石川君。彼も一度はバンドを辞めて、生活に困ったのか映画会社のニューフェイスとなってしまうストリップ劇場の楽団のピアニストになってしまうのだけれど、最後は復帰します。
シックス･メロディアンズのメンバーがそろう場面にはほとんど登場し、アップの場面も数回あり。しかしながら、セリフが「はい！」の一言しかない(笑)。何か言おうとする場面もあったのだけど、「ちょっと待ってくれ！」とかさえぎられちゃうし。でも、各場面の状況に対応して表情豊かに演じてました。中でも、ストリップ劇場でピアノ弾いてるときに、バンドの仲間に「もう一度シックス・メロディアンズやろうぜ！」というメモを見せられて、それに同意して見せる表情がアマチ史上いちばん飛びっきりの笑顔でイイ！
ピアノ弾く場面もいくつかあるのですが、けっこう様になってました。アマチさん、極めるタイプとお見受けするので、ピアノの先生に熱心に習ってそうだ。

ところでシックス・メロディアンズの母校が城南大学。やはり若大将の先輩に当たるのだろうか。

この映画、出演者がとにかく豪華です。当時の流行歌手やバンド、コメディアンが大挙出演。しかも彼らのほとんどに見せ場があるのがじつにおいしい。当時のジャズ界のにぎわっている感じが伝わってきます。かなり貴重な映画なのでは。
この映画のタイトルロールがyoutubeで観られます。
http://jp.youtube.com/watch?v=WI3RrO_xEzk
ワタシ的にポイントだったのは下記のとおり。
・当時の江利チエミの所属が吉本興業。
・トニー谷のコントを見ることができた。「瀕死の白鳥」のパロディの「瀕死のハエ」など。
・伴淳三郎がアジャ・パー氏というナゾの芸人で登場。縛り上げられたフランキーを助ける場面の動きがえらく面白い。そこに大泉滉がからむのがさらに笑える。
・ラテン好きなので、東京キューバンボーイズの演奏場面があってうれしかった。見砂直照さんがマラカス振ってる～。
・フランキー堺のドラム、かっこいいっす。彼のドラムのすごさについては本で読んだことがあったけど、本当に素晴らしいです。
・柳家金語楼のシブい顔がなんともおかしい。
・先日なくなったナンシー梅木も登場。合掌。

今回の松林監督特集では、ヤング天知茂を大いに堪能できました。「風流交番日記」も、「青春ジャズ娘」も、当時の彼の年齢相応の役をやっていて、ちょっとかわいくてナイスでした。表情の作り方とかなかなかうまくて青年アマチはがんばっていると思いました。アマチ史的にも貴重なものみせていただけました。