「殺すまで追え 新宿25時」

navera

2008年04月06日 23:04

シネマアートン下北沢で「殺すまで追え 新宿25時」(1969・松竹)を観てきました。
あらすじはコチラ(キネマ旬報データベース)

夜の新宿。激しい雨が降っている。バーの前にたたずむ一人の男。男は店の女が誘っても相手にせず、雨に打たれたままだ。バックに流れる歌は青江三奈の「新宿サタデー・ナイト」。そこにキャスト―桧健作(天知茂)―が映し出される。そして新宿の夜景をバックに他のキャストも次々と映し出される。やがて夜は明け、雨もやむ。桧が道を歩いていると一発の銃声が。振り向く桧。そこにタイトルが重なる。次のカットで桧の同僚、安西が拳銃自殺した現場に―。
こんなかっこいいオープニングで始まるこの作品は、アマチさん最後の単独主演映画です。

点火
桧の同僚、安西が拳銃自殺した。安西の妻(原知佐子)は彼が病気を気にしていたという。しかし、桧は安西が自殺したことが信じられない。安西の遺体が搬出された後も桧は安西の遺書を探すが、代わりに見つかったのは安西とバーの女・梨花(富山真沙子)とのツーショットの写真だった。

弱火
安西の死が自殺でないとにらんだ桧は捜査を進めようとするが、捜査をやめたい坂上課長(高野真二)と対立する。
桧は梨花を探し出し安西の死の原因を尋ねるが、梨花はその後姿を消し、死体となって発見された。

中火
桧は梨花を殺した赤松を追おうとするが、やはりここでも課長と対立する。しかし赤松は桧が追い詰める寸前に殺し屋・天童(川津祐介)に撃ち殺される。
さらに桧の車に仕掛けられたダイナマイトが爆発し、彼の妻(園江梨子)が死んでしまう。復讐の念に燃えた桧は警察を辞職し、自分で犯人を探し、復讐する決意を固めた。

強火
桧の目指す敵は大滝商事の代表、大滝(佐藤允)だった。大月近辺で射撃をやっている大滝のもとへ桧は赴き、ここで2人は始めて対峙する。大滝の愛人、歌手のさとみ(香山美子)はそこで桧の男らしさに惹かれたらしく、その夜東京に先に戻ろうとする大滝に向かって桧よりもダメな奴!と罵倒する。
数日後、相変わらず大滝にそっけなくなったさとみにキレて、大滝はさとみの顔に熱湯をかけまくる(なんて奴だ!)。顔にやけどを負ったさとみは桧の家に逃げ、病院に入院する。そこへ大滝から娘の潤と引き換えに記憶喪失になれという脅迫電話がかかってきた。

それとは別に、病院でさとみから坂上と大滝が会っていたことを聞いた桧は、安西の家へ向かう。そこには安西の妻と坂上がいた。実は安西の妻は、安西がすべての秘密を書いた遺書を隠していたのだ。そこには坂上が汚職に関わっていることも書いてある。桧は恐ろしい勢いで安西の妻を脅迫し、遺書の入ったロッカーの鍵を手に入れる。

桧は大滝と最後の対決するために軽井沢に向かう。大滝は銃を構えて待っていた。しかし桧は「貴様だけはあの世に送ってやる」と復讐の決意にみなぎっている。霧深い草原の中を2人は駆けてゆく。そこへ銃声が!さとみが大滝を撃ったのだ。しかしさとみも大滝に撃たれ、こと切れる。ここで桧の怒りは最高に燃えたぎった!大滝に銃を向ける桧。。。まさにうとうとする瞬間、桧の耳に娘の潤の「パパ!」という声がする。手を止める桧。大滝もこと切れた。

消火
草原を抜け出す桧。そこには新宿署の仲間たちと潤がいた―。そして潤を抱いて歩く桧。。。

次々と事件をめぐる人々が死んでいくが、そのたびに桧の怒りが高まっていく。さとみが死んだときのアマチさんはアマチ史上最強に恐かった。会田刑事どころじゃないぞ!警察辞めて一市民になったから恐いものなしと自分でも言ってるし。
しかしその反面、奥さんと娘もいるお父さんであり、娘のことを思って大滝を殺すのをやめるという一面も持つ。ちなみに普段から娘の潤ちゃんには甘いらしい。トランプ遊びとかしてるみたいだし。奥さんがなくなった後、それを悲しむ潤ちゃんに「潤にはパパがいるじゃないか」なんていうやさしいセリフもある。

それから、見所は何度か出てくるアクション・シーン。浜辺での川津祐介との対決は「黒線地帯」の宗方祐二との決闘を思い起こさせるスリリングさだ!ジャケットを宙に投げて川津さんに立ち向かうアマチさんはかっこいいぞ!
他にもカーチェイス、ラストの大滝との対決、新宿西口での川津さんとの追っかけっこなど見所満載。青江三奈もクラブの歌手役で登場!

アマチさん38歳、男盛りのクールな魅力を最初から最後まで堪能できる作品です。

ちなみに、原作はウィリアム P.マッギヴァーンの「ビッグ・ヒート」。



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