「黒幕」

2008年02月07日

Posted by navera at 12:01│Comments(0)茂、松竹にも出演
先月の話になりますが、ラピュタ阿佐ヶ谷で「黒幕」(1966・創映/松竹)を観てきました。三回も(笑)。
あらすじはコチラ(キネマ旬報データベース)。

東京の赤玉製薬と大阪の岩倉製薬は、製薬業界ではライバルだ。作っている製品もジャンルがダブっているものが多い。そんなことでお互いに表に裏にとしのぎを削る関係なのだ。
利根五郎(天知茂)は赤玉製薬の社長直属のプロパー(特殊販売員みたいなものか)。腕も立つし女にもてるし仁義に厚い男だ。ある日も岩倉製薬の主力商品「王精」を強奪し、現金問屋に横流しする作戦を成功させた。
利根の同僚の千石静香もプロパーとして活躍しているが、利根は静香の謎めいたところに心惹かれるようになる。。。

企業間の競争をバックにしたアクション映画なんですけど、全編天知茂祭りのような作品であります。
オープニングにかっこよくライターをつける利根のショットがハードボイルドで、冒頭からファンにとっては涙モノです。さらに天知さんの歌う主題歌をバックにタイトルロールが流れ、出演者紹介も天知さんはトップでピンで登場(映画では、これはめったにない)。心拍数、相当上がります。

作品中には何度もアクションシーンが出てきますが、大乱闘あり、カーチェイスありとなかなか楽しい。アマチさんがスタントなしでトラックに飛びつくシーンなんてのもある。しかし利根はどんなに殴られても血を流すことなく、重傷を負っても「僕は不死身ですよ」なんて言いながら出社してくる。タフすぎだ。
というか、利根はナイトクラブの用心棒が出発点らしいので、そこで鍛えたんでしょうな。

あと、この作品は「歌う天知茂」という貴重な映像も堪能できます。主題歌の「影」は天知さんの持ち歌にしては珍しく前向きな内容。なぜかナイトクラブで歌う場面もあるのですが、このとき歌う題名不詳の歌はムード歌謡で、クールに歌うところがかっこいいぜGOOD

それから、「王精」のナゾを探りに製造元の由良甚六(殿山泰司)の許を訪れた利根はそこで甚六の若い妻・加代(扇町京子)に迫られてタジタジ、しかしやっちゃうというシーンがあるのですが、ここのアマチさんのタジタジぶりがキュートだったりします。ユリの咲く中での二人のからみは、スウェーデンのオトナの映画の雰囲気を狙ったらしい。
そうそう、扇町さんが頭のねじが緩んだような女の子を好演?怪演?。
あ、ちなみにこの映画、当時は成人映画指定だったそうです、はい。当時は邦画のメジャーでもエロがはやっていたので、この作品もその線狙ったんでしょうか。

実はこの映画、新東宝メンバー勢ぞろいでして、監督の小林悟、アマチさん、高宮敬二さん、扇町さん、脇役の方数名、さらに技闘が今清水さん(「地獄」で車に轢かれるヤクザをやった泉田洋志さん)という顔ぶれ。ついでに言うと、この映画の同時上映「顔を貸せ」は、高宮・文太とこちらも新東宝メンバーが出演。松竹配給ながら新東宝みたいな2本立てなのでした。

甚六の息子役で左とん平さんが出演しているんですが、もしかしてアマチさんミーツとん平はこの作品?それと、行方不明になった加代さんを甚六のところにつれてくる巡査が宮口二郎さん。発声がアマチさんに似てますね。

このころの天知さんの主演作、テレビの映像は恐らくほとんど残っていないので、映画の主演作であるこの作品はアマチ史において特筆すべき作品でありましょう。



タグ :天知茂邦画

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